|
|
|
今あるものより付加価値の高い製品を開発することが、日本の半導体業界の課題である。半導体はトランジスタ・ダイオードなどの半導体素子と、半導体集積回路(IC・LSI)とに大別されるが、市場規模の大きさなどから今日、半導体といえば集積回路を指す場合が多い。
また、半導体産業には半導体以外に周辺機器と製造装置が含まれるが、集積回路は高度な技術力と複雑な生産工程、そして巨額な研究開発費と先行設備投資が必要なことから、日本では5大メーカー(NEC・東芝・日立・富士通・三菱電機)など、大手エレクトロニクスメーカーが中心となって開発している。この集積回路も、大きくロジック(論理演算処理)とメモリ(記憶機能)に分けられ、アメリカではロジックのMPU(小型中央演算処理装置)、日本はDRAM(読み書き可能記憶装置)で圧倒的な強さを維持してきた。
ところが、韓国・台湾をはじめとするアジアのメーカーの低価格攻勢などにさらされ、90年代以降、日本のDRAMシェアは急速に縮小。最近では日本メーカーが次々にDRAM事業から撤退し、主体は完全にアジアメーカーへと移っている。今後は、インテルやモトローラ・TI(テキサス・インスツルメンツ)といった米国の強豪メーカーに対抗できるような、より付加価値の高いMPUや戦略的なLSIを開発することが、日本メーカーにとって最重要課題となるであろう。 |
|